創業融資の審査に通る確率はどれくらい?
起業する際に、自己資金だけで事業資金を賄えるという人は少数派かと思います。
多くの人は、お金を借りることになるでしょう。
創業融資を金融機関から受ける場合は審査がありますが、厳しいのでしょうか。
審査に通る確率や審査に通るコツなどをお伝えします。
主に金融公庫や地方銀行で融資が受けられます
事業資金が自己資金で賄えない場合、親や親戚、友人から借金するという方法もあります。しかし、「親子の中でも金銭は他人」という諺があるように、親しい仲であってもお金に関することはしっかりと線引きをすべきでしょう。
お金を返せなかったときに深い傷を残す可能性があります。これを踏まえると、金融機関などから借り入れるのが妥当です。
お金を貸し出す金融機関はさまざまありますが、創業資金を貸し出すところは限られます。最も広く知られている金融機関は、国が100%出資している金融公庫かと思います。
金融公庫が設置された目的は、一般の金融機関を補完するためです。そのため、一般の金融機関と比べて審査基準などが緩くなっていると言われています。
融資は銀行でも受けられますが、もしそちらで審査に落ちてしまった場合でも、金融公庫の審査に通る可能性があるということです。事業資金の調達のみならず、運転資金の調達もサポートしてくれる仕組みがなされています。
金融公庫は国民生活事業と農林水産事業、中小企業事業の3つを柱として事業をおこなっており、中小企業や個人事業主が融資を受ける場合は中小企業事業が該当します。国内経済の活性化を図るべく、融資を活発に実施中です。
さらに公的機関がおこなうものに、自治体の制度融資というものがあります。これは地方自治体が主導して、銀行などの一般金融機関と共に中小企業や個人事業主の資金調達をサポートする仕組みです。金融公庫と同様に金利が低く、基準が緩めという特徴を持ちます。
銀行でも融資が受けられると前述しましたが、いわゆるメガバンクと呼ばれる大手銀行では受けられません。また、信用金庫や信用組合は組合員のみを対象にしています。
融資を受けるとすれば、地方銀行のみが選択肢になる人が多いかと思います。ただ、地方銀行の融資方法は2種類に大別でき、一つは消費者金融のカードローンのような内容です。webで申し込みができ、面談がなく審査に通りやすい一方、金利が高いので注意してください。
金融公庫の審査に通る確率はどのくらいでしょうか
金融公庫の審査に通る確率は公表されていないため、確かなことは言えません。2割や3割程度という意見もあれば、5割か6割くらいという意見もあります。
どちらも公開情報ではないため信憑性の低い数字ではありますが、落ちる人は少なくないのかもしれません。金融公庫の特徴は低金利で審査が緩めと言われているだけに、意外に感じる人は多いのではないでしょうか。
また、審査に申し込んだ人の10%は確実に融資可能な人で、同じく10%の人は確実に落ちる人、という割合になることが多いと言われます。そして、残りの80%の人は微妙なラインに立ちます。
審査に落ちる可能性が高いのは、自己資金のない人や借金の滞納がある人、計画性がない人です。自己資金は多いほど有利で、融資額はその金額に比例します。
自己資金が少ないと、資金繰りが悪化して融資金が返済されないかもしれないと思われてしまったり、起業準備や計画がしっかりできない人と判断されたりします。面談で通帳を見せることになるので、自己資金はできるだけコツコツと貯めたお金が理想です。
しかし、それが難しかった場合は他の方法で自己資金を補填することも可能です。例えば、親の財務状況がしっかりしていて贈与を受けられる場合は、贈与契約書と共に提出すれば認めてもらえます。
また、理由がしっかりしていれば第三者からの出資金も可能、さらに退職金もOKです。一時的に通帳の額面を増やそうと、消費者金融などから借り入れて審査の目をごまかそうとする人もいますが、見せ金に関しては非常に厳しいと言われているのでやめましょう。
滞納がないと考えている人も、申し込み前には念のため確認することをおすすめします。もしかしたら、水道光熱費や携帯電話などの支払いが遅れたことがあるかもしれません。
スマホ代金やクレジットカードなどの支払いが何ヶ月も滞ったことがある人は、ブラックリストに載ってしまいます。信用機関から信用情報を取り寄せると確認することが可能です。計画性があるか否かは、創業計画書で確認されます。
創業計画書が重要なポイントです
創業計画書はフォーマットがあり、それを使うことになります。創業の動機から始まり事業の見通しまで、8種類の分野について記入します。
お金を貸す側は「お金を貸して返してくれそうな人か」ということを判断しなければいけません。多くの人に借金を踏み倒されれば次に創業したい人たちにお金を貸すことはできませんし、自分たちの事業継続も難しくなっていくので当然と言えます。
審査する人は、創業計画書を見て記載された内容に矛盾がなく、事業が失敗する可能性が低いと判断すればお金を貸してくれます。創業計画書で特に重要な欄は8番目の「事業の見通し」です。
「売上高・売上原価、経費を計算された根拠をご記入ください」という欄もあるので、根拠のある数字を書きましょう。原価や経費も具体的な数字を書く必要がありますが、多くの人は経費を甘く見過ぎていると言われています。
経費は固定費でなく、変動費で記載したほうが良いでしょう。ポイントは現実的な計画に見えることであり、夢物語ではいけません。審査する側は、返済しながら経営者や家族が生活できるかどうかをチェックします。
とはいっても、初めて経営をおこなうのに具体的な数字を出して計算するのは難しいかと思います。売上高の計算方法などは金融公庫のホームページに掲載されているので、参考にしてみてください。
また、「事業の見通し」に関連する欄の3番目に「取り扱い商品・サービス」があります。扱う商品やサービスが差別化されていて、誰が見ても売れるものであれば心配ありませんが、そうでなければ工夫が必要です。
セールスポイントの記入欄は小さな欄なので、別用紙に記入するのがおすすめです。利益を生む商品やサービスを提供していける人だと思わせましょう。
2番目の欄にある「経営者の略歴等」というところには、アピールできるところを余すことなく記入すると効果的です。たとえ新規におこなう事業での経験がなくても、それにつながるような仕事の経験があれば書いても構いません。
事業に役立つようなスキルがない場合は、先行き不安だと思われてしまいます。学生時代のアルバイト経験や人脈でも問題ないので、記憶を呼び戻してみてください。
創業融資は金利の低い金融公庫や地方自治体の制度融資から申し込み、落ちた場合に地方銀行へ申し込むと良いでしょう。ただ、公的機関での審査に受からなかった場合、地方銀行で受かることは難しいかもしれません。
金融公庫で審査に落ちると、半年から1年くらい間を置かないと再申請するのは難しいです。これほど長期間開くと、創業自体を諦めなくてはいけない可能性もあります。
審査が緩いから大丈夫だろうと高をくくって審査に望む人もいますが、これは間違いだと思っておいてください。「もう後がない」くらいの心持ちで臨んでも大げさではないでしょう。
絶対に審査に通りたいという場合は、専門家に依頼するのも一つの方法です。税理士事務所や行政書士事務所、コンサルティング会社などに頼むことができます。